ひとり翁

大晦日。

仕舞師匠のブログで、神社でひとり翁奉納があることを知った。

観に行きたいな、と軽い気持ちで「時間と場所を教えて下さい」とメールしたところ、「一般の人が入っても良いか、Y先生に問合わせしています」

Y先生って家元の弟さんだよ!

神事だし、これは遠慮すべきなのではないかとブルっていたら、
「OKが出ました(奇跡!)」。

一気にテンションがあがり、紅白もそこそこに着物を着て、赤坂に向かいました。
車中で師匠からメール。どうやら同門のAさんも行かれるらしい。一人じゃなくて良かった。

地謡3人。囃子なし。
10分ほどの翁だったけど、背後からお賽銭を投げる音が響き、かがり火の匂いをかぎながらの翁、能楽堂で拝見するのとはまた違った趣があった。

ホントは「VIPじゃないと拝殿内には入れてもらえない」らしいのに・・・
「叩けよ、さらば開かれん」ってホントだなと思った。

そんなわけで、「行動力に脱帽」とよく言われる私ですが、今年も心が向いたことに積極的に動いて行きたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

カレーライスの作り方

学生時代の能楽研究会の話。

謡を80代の女性師範に教わっていた。
頭脳明晰で、超口やかましいおばあさん。

盆暮れの付け届けの品に延々と文句を言われたり、
「へたくそ!」と罵られたり。
合宿の時は、先生より早起きして顔を洗うお湯を用意し、
お風呂では背中を流した。

卒業して「あたしたちよく辞めなかったね」と言ったら、
「辞めたら何言われるかわからないと思った」と後輩が言った。

普段の稽古はいつも説教から始まった。
小一時間説教があって、稽古が1時間。

あるとき、いつまでも続く説教にしびれを切らした先輩が
「もうわかりましたから、お稽古してください」
と言ったら
「カレーライスを作るのに、野菜を洗わないで料理が出来ますか?
あたしは今、じゃがいも洗ってるところなの!」
と一喝。
また延々と30分やられた。

今の笛の師匠のお稽古、ときどき?話が脱線する。
「そんな話を聞きに来たんじゃないから、早く笛を教えてほしい」
そう思っている人もいるみたい。

でもね、あれは魔法のスパイスなんだよ、きっと。

鈴の音

笛師匠が講師を務めると聞いて、体験講座に潜入してきた。

一時間の講座の後、舞台で発表会をしなければならない。

師匠が用意した課題は「中之高音」「三ノ六ノ下」。
初めて笛を持つ人ばかりなのに、いきなりこれはキツイよなあ、と思いつつ吹いていたら、「ちょっと時間ないから!」と師匠の声が…。
どうやら他の面倒をみろという意味らしい。

最初から音が出る人、異様に覚えがいい人、ガッツのある人、いろいろな人がいたけれど、数十分後に控えた舞台に向かって一同一丸。
出番直前は、輪になって何回もなぞった。
個人稽古ばかりの身には久々に部活をやっているような気分で、とても楽しかった。

恙無くお舞台も終了。笛師匠が模範演奏をしてくれた。

「神楽」

鈴の音が聞こえるような、不思議で、素敵な音だった。

放し飼い

2か月ほど前のある日。
twitterの「おすすめユーザー」に見覚えのある単語があった。
夫のメールアドレスといっしょ。覗いてみたら案の定、夫だった。

先日の晩。
帰宅後、ふと夫のつぶやきを見てみたら、北関東の某市にいるらしい。どうやら飲み会。

あんー!?そんなの聞いてないよ!

「おーい、来てごらん」と子どもたちを呼ぶ。

「パパ、今晩は帰ってこないと思う。玄関カギかけていいかね?」
「いいよいいよ、閉めちゃえ~。危ないもーん!」

そんな訳で、施錠して就寝。深夜に夫は帰って来た。

翌朝。
あえて触れないで、そのまま仕事に。

職場で相棒のくまちゃんに話してみた。

「えー。あたしだったら撃ち殺す」

いや、撃ち殺すには値しないと思うけどね。

帰宅後、今度は子どもたちに聞いてみる。

「くまちゃんだったら撃ち殺すんだって。どう思う?」

ムスメ「別にー。どこに行こうとパパの勝手じゃん」

お前はデキタ奥さんになるよ。

息子「切り札にとっておく」

切り札にはならないと思うけどね。

とりあえず、泳がせておくか・・・。

すべては憧れから (笛のお稽古 その5)

昨日はお稽古があった。
終わった後、暗くなってきた住宅街を歩く。

「あんな笛を吹きたいと思った」

「あんな人になりたいと思った」

師匠にも、憧れの笛が、憧れの人がいたんだな、と思った。

すべてはそこから始まるのかもしれない。

ただ駒を磨け(笛のお稽古 4)

お能のお稽古の帰り道のこと。
いつものように雑談をしながら駅に向っていた。

「余計なこと考えるから、覚えないんですよー」

師匠のひとことが耳に残る。
理屈とか、もやもやとか、あれこれどうでもいいことを抱えてしまう大人は難しい。
学生の頃なら一回のお稽古で覚えられたことが、何回かけても身体に沁み込んでいかないのは、そういうことなんだな。

「盤の前に座して、ただ駒を磨け」

将棋の森信雄七段のことばである。
知らぬうちに“愛着”が生まれ、将棋が苦でなくなると。

座して、ただ唱歌を謡うことにしますか・・・。

感謝しかない

祖父が91歳で亡くなった時のこと。
母と叔母が話していた。

「お父さん、最後は看護婦さんのこと『お母さん』って呼んでたわね」

「もう頭はっきりしなくなってたからね。
でもお父さん、いつも『ありがとう、ありがとう』って言ってた。
悪いことは一言も言わなかったね」

意識がしっかり保てなくなった時に、その人のすべてが出てしまうんだろうなァ。

私もこの世とお別れをするときに、『ありがとう、ありがとう』って無意識のうちに言えたら・・・。
そう思った。

«G!

2012年1月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ